【アメリカ個人事業主】経理初心者の会計ツールはどう選ぶ?

アメリカで個人事業やフリーランスを始めると、最初に迷いやすいことのひとつが、「経理は何を使って管理すればいいの?」ということです。
- Google Sheetsで十分?
- Waveは無料で使えるって聞いたけど大丈夫?
- QuickBooks Onlineのような会計ソフトを使うべき?
選択肢が多いからこそ、かえって迷ってしまいますよね。
前回の記事では、売上・入金・経費・決済手数料など、バラバラに残っている記録を1か所にまとめることが大切だとお伝えしました。
では、その「1か所」は、何で作ればよいのでしょうか。
この記事では、アメリカで個人事業や小さなビジネスをしている方向けに、Google Sheets・Excel・Wave・QuickBooks Online・Xeroなどのアメリカでよく使われる会計ツールの種類と選び方を、初心者の方にもわかりやすく整理していきます。
最初から完璧なツールを選ぶ必要はありません。
大切なのは、今のビジネスに合っていて、無理なく続けられる方法を選ぶことです。
会計ツールを選ぶ前に考えたいこと
「どの会計ソフトが一番いいですか?」
これはよくある質問ですが、実は答えはひとつではありません。
ビジネスの規模、取引数、入金方法、請求書の有無、将来の成長予定、そして自分でどこまで管理したいかによって、適したツールは変わってきます。
どんなに高機能な会計ソフトでも、使い方がわからず放置してしまえば意味がありません。
逆に、シンプルなスプレッドシートでも、毎月きちんと記録できて、収入と支出が把握できるなら十分な場合もあります。
まずは、次のポイントを考えてみましょう。
- 月の取引数はどのくらいか
- Invoice(請求書)を発行する必要があるか
- 未入金の売上を管理したいか
- 銀行口座やクレジットカードを自動連携したいか
- 外部の決済サービスを利用しているか
- Sales Tax や 給与(Payroll)が関係するか
- 会計士(CPA)や記帳代行(Bookkeeper)とデータを共有する予定があるか
- 自分で操作を覚えられそうか
- 将来ビジネスをどのくらい大きくしたいか
ツール選びは「今の自分にとって続けやすい方法」と「将来困りにくい方法」のバランスで考えると、選びやすくなります。
まず知っておきたい会計ツールの種類

会計ツールといっても、すべてが同じレベルの機能を持っているわけではありません。
初心者の方が検討しやすいツールは、大きく分けると次の3つに整理できます。
1. スプレッドシート系
Google Sheets や Excel のように、自分で表を作って収入・支出を記録していく方法です。
スプレッドシートは自由度が高く、コストを抑えやすいのが一番の魅力です。取引数が少なく、ビジネスの内容がシンプルな場合は、まずここから始めることもできます。
一方で、入力・集計・ミスの確認は自分で行う必要があります。
2. シンプルな会計ソフト
FreshBooks や Wave のように、請求書作成、入金管理、基本的な収入・支出の記録ができるツールです。
シンプルな会計ソフトは、スプレッドシートよりも見やすく、請求書を発行したい方や、基本的な会計機能を使いたい方に向いています。
サービス業やフリーランスの場合、最初に必要になる機能はこのグループで足りることが多いですが、本格的な会計管理や細かいレポート、部門別管理、専門家との連携を重視する場合は、機能が足りなく感じることもあります。
3. 本格的な会計ソフト
QuickBooks Online 、Xero、 Zoho Booksのように、銀行連携、請求書、経費管理、在庫管理、プロジェクト管理、レポート、Sales Tax、Payroll、複数ユーザー共有など、より幅広い機能を備えた会計ソフトです。
本格的な会計ソフトは、多機能でより細かい管理とレポートのカスタマイズなどができます。
取引数が増えてきた方、会計士さんや記帳代行者などとデータを共有したい方、将来的にビジネスを大きくしていきたい方に向いています。
一方で、機能が多い分、最初の設定や使い方に慣れるまで少し時間がかかることがあります。
このように、会計ツールは、どこまで経理を管理したいかによって選び方が変わります。
Google Sheets・Excel が向いている人
取引数が少なく、ビジネスの内容がシンプルな場合は、Google SheetsやExcel のようなスプレッドシート系でスタートすることもできます。
たとえば、次のような方には向いています。
- 月の取引数が少ない
- 入金方法がシンプル
- 給与計算(Payroll)がない
- Sales Taxが複雑ではない
- スプレッドシートの操作にある程度慣れている
- まずはコストをかけずに始めたい
Google SheetsやExcelの良いところは、自分のビジネスに合わせて自由に表を作れることです。
売上一覧、支払い一覧など、各種管理表を自分が見やすい形で作ることができます。
一方で、注意点もあります。
スプレッドシートは自由度が高い分、自分で表の形や計算式を整える必要があります。ある程度スプレッドシートの操作や計算式に慣れている方におすすめです。
「セルって何?」
「計算式が壊れると直せない」
「合計が合わなくなった」
こういったことで止まってしまう場合は、無料だからといってスプレッドシートが一番ラクとは限りません。
パソコン作業に不安がある方や、取引が増えてきた方は、会計ソフトを使ったほうが続けやすい場合もあります。
シンプルな会計ソフトが向いている人
FreshBooks、Wave などは、いずれも個人事業主やスモールビジネス向けのシンプルなクラウド会計ソフトです。
シンプルな会計ソフトは、フリーランサーや小規模ビジネスなど、請求書の発行と入金管理、収入・支出の記録、基本的な会計レポートが必要な方に向いています。
シンプルな会計ソフトは、以下のような場合に最適です。
- コストを抑えて始めたいがスプレッドシートは苦手
- サービス業・コンサルティング・レッスン業など、在庫を持たないビジネス
- 請求書の発行と入金を一元管理したい
- 収入と支出をシンプルに管理したい
- 取引数がそこまで多くない
- 高度なレポートや細かい部門管理までは必要ない
一方で、注意点もあります。
たとえば、
- プロジェクト別の利益を細かく見たい
- 部門別・ロケーション別に管理したい
- 高度なレポートを作りたい
- 複数人で権限を分けて使いたい
という場合は、次の章で紹介する「本格的な会計ソフト」を検討してもよいでしょう。
また、将来的に外部の専門家に経理を依頼したい場合は、その方がそのソフトに対応しているかを事前に確認しておくと安心です。
ここでは、各公式サイトで公開されている情報をもとに、FreshBooksとWaveの特徴を簡単に整理します。実際に導入する前には、無料プランやトライアルで操作感を確認してみてください。(2026年6月末時点の情報です)
FreshBooksは、クライアントワークや時間管理と相性がよい
FreshBooksは、請求書作成、オンライン決済、経費管理、レポートに加えて、時間管理や見積書などの機能も用意されています。時間単位で仕事をするコンサルタント、デザイナー、クリエイティブ系の方などには使いやすいとされています。
複数の基本プランがあり、チームメンバーの追加や給与計算の有料オプションも紹介されています。
Waveは、シンプルに低コストで始めたい人向け
Waveは、個人事業主向けに、請求書・見積書作成、オンライン決済、経費管理、レポートなどを提供しています。
Starter Plan は無料で利用できます。Pro Plan (月額 $19)では銀行取引の自動取り込みと自動分類、レシート管理、支払いリマインダーなどの機能も案内されています。(*2026年6月現在)
このようにシンプルな会計ソフトは、基本的な機能だけを見ると、どれを選んでもサービス業の小さなビジネスには対応できることが多いです。
そのため、最終的には
- 画面が使いやすいか
- Invoiceの見た目が好みか
- レポートが見やすいか
- 料金プランが自分に合っているか
といった使い勝手で選ぶ部分も大きくなります。
無料プランやお試し期間がある場合は、ひとまず触ってみて、操作がしやすいか、自分の目的が達成できるかを確認してみるのが良いかと思います。
本格的な会計ソフトが向いている人
QuickBooks Online や Xero、 Zoho Booksのような、より幅広い機能を備えた本格的な会計ソフトは、複数のプロジェクトやロケーションを管理したり、在庫管理、外部ツールとの連携が多いビジネスなどに向いています。

ビジネス形態や規模に合わせ、よりしっかりした会計管理が必要になる場合に最適です。
たとえば物販の場合は、Square、Clover のようなPOSシステムを使って売上管理をしていたり、Stripe、PayPal、Zelle など複数の決済システムを利用しているかもしれません。
また、給与が発生する場合や、売上税(Sales Tax)の管理などが必要な場合もあります。
S-Corpでは、給与、分配など、必要な項目が増えやすくなりますし、C-Corpや一定規模以上のビジネス、在庫が重要なビジネスでは、発生主義での管理が関係してくる場合があります。
そのような場合に、本格的な会計ソフトでは、ビジネスニーズに合わせた高度な機能や、外部ツールとの連携により、複雑なお金の流れを1カ所にまとめて整理する役割を担うことができます。
大切なのは、会計ソフトをビジネスの数字を最終的に集めて見える化する場所として使うことです。
QuickBooks Onlineはアメリカで利用者が多い会計ソフト
QuickBooks Onlineは、Intuitが提供しているクラウド型の会計ソフトです。
QuickBooks は、アメリカの会社が主にアメリカ会計に準じて開発したソフトで、長年スモールビジネス向けの会計ソフトとして使われてきたため、会計士などの専門家側でも操作に慣れている人が多い傾向があります。
QuickBooks Onlineでは、請求書作成、入金管理、銀行取引の取り込み、経費管理、Bill管理、各種レポート、複数ユーザー共有など、プランに応じた機能が用意されています。
QuickBooks Onlineは、次のような方に向いています。
- 複数の銀行口座やクレジットカードを自動連携したい
- 売掛・買掛金状況を管理したい
- プロジェクトや部門ごとの売上管理をしたい
- 売上・経費・利益の詳細なレポートを確認したい
- 会計士や代行者と共有したい
- 将来的に外部アプリ連携も使いたい
- 最初から本格的な会計ソフトで経理を整えたい
QuickBooks Onlineのメリットは、機能の幅が広いことです。
銀行口座やクレジットカードとの連携により、取引を自動で取り込み、分類作業を効率化できます。プランによっては、Bill管理、プロジェクト管理、在庫管理、より細かいレポートなどにも対応しています。
QuickBooks Onlineは、社内のチームメンバーや会計士などとの共有時に、制限や役割を割り当てることもできます。
また、アメリカでは、QuickBooksが長年スモールビジネス向けの会計ソフトとして使われてきたため、QuickBooks Onlineに慣れている会計士(CPA)や記帳代行(Bookkeeper)が比較的多いことも大きなポイントです。
将来的に代行を依頼したり、データを共有したりする予定がある場合は、QuickBooks Onlineを使っていると話がスムーズに進みやすいことがあります。
最初の設定や分類ルールがあいまいなまま使い始めると、あとから修正が大変になることもあります。
また、月額費用が他社と比べ高めに設定されています。特にプロジェクト管理などは一定のプラン以上でないと使えなかったりするので、必要な機能に合わせたプラン選びも大切です。
不安がある場合は、最初だけ外部サポートに設定を依頼する、または使い方のサポートを受けるのもよい方法です。
Xeroは国際的なビジネスにも対応
Xeroは、ニュージーランド発のクラウド会計ソフトです。
Xero公式サイトでは、銀行連携、請求書、レポート、支払い管理、ファイル管理、Sales Taxなどの機能が紹介されています。プランや料金は変更される可能性があるため、公式サイトで最新情報を確認する必要があります。
Xeroは、次のような方に向いています。
- 見やすい画面で本格的な会計ソフトを使いたい
- 複数人で会計データを確認したい
- 海外取引や複数通貨を扱う可能性がある
- QuickBooks以外の選択肢も検討したい
- 国際的なビジネスに関わっている
Xeroは、シンプルで見やすい画面や、国際的なビジネスとの相性で選ばれることがあります。
一方で、アメリカ国内で専門家と連携することを考えると、2026年現在では、Xero対応の会計士さんや記帳代行が少ない場合があります。
今後 Xeroに詳しい専門家も増えていくかと思いますが、将来的に外部サポートを使う予定がある場合は、依頼したい専門家がXeroに対応しているかを確認しておくと安心です。
また、Xeroも、最初の設定やカテゴリーの考え方は大切です。
正確なレポート作成のためにも、取引の分類や照合、基本的な会計の知識は必要になります。
Zoho Booksは、Zoho製品との連携や拡張性を重視したい人向け
Zoho Booksは、インド発のクラウド会計ソフトです。
Zoho Booksは、請求書・経費管理に加えて、銀行連携、在庫管理、プロジェクト管理、時間管理、70以上のレポート、会計士との共有、ワークフロー自動化など、かなり幅広い機能を用意しています。
QuickBooks OnlineやXeroに比べるとアメリカの利用者は少ないものの、Zoho CRM、Zoho Invoice、Zoho Projectsなど、ほかのZoho製品をすでに使っている方や、今後Zohoの中で業務管理をまとめたい方には相性がよいかもしれません。
会計ツールの簡単な比較とまとめ
| ツール | 向いている人 | 注意点 |
|---|---|---|
| Google Sheets / Excel | 取引が少なく、スプレッドシートに慣れている人 | 自分で表を作る必要があり、入力漏れや計算ミスに注意 |
| FreshBooks | 請求書発行や時間管理を重視するサービス業 | 経理全体や専門家共有を考える場合は事前確認が必要 |
| Wave | コストを抑えて、シンプルに始めたい個人事業主 | 高度な管理や専門家との連携では物足りない場合がある |
| QuickBooks Online | 複雑な会計管理・レポートが必要、チームや外部専門家との共有を考えている人 | 月額費用が高め、慣れるまで時間が必要 |
| Xero | 海外取引、複数通貨、チーム運用を意識したい人 | アメリカ国内では対応できる専門家がQuickBooksより少ない場合がある |
| Zoho Books | Zoho製品との連携や自動化、在庫・プロジェクト管理も視野に入れたい人 | アメリカ国内ではQuickBooksほど専門家対応が多くない場合がある |
この表はあくまで一般的な目安です。業種、取引数、必要な機能、料金・将来の外注予定などによって比較検討を行ってください。
無料だから一番よい、とは限らない
ツール選びでよくあるのが、「とにかく安いほうがいい」という決め方です。
特にビジネスを始めたばかりの時期は、固定費を増やしたくないですよね。
もちろん、コストを抑えることは大切ですが、無料のツールが必ずしも最適とは限りません。
たとえば、スプレッドシートは無料で使えますが、自分で入力し、集計し、ミスを確認する必要があります。
Waveも比較的低コストで始めやすいですが、必要な機能がプランによって異なる場合があります。
QuickBooks Onlineのような有料ソフトは月額費用がかかりますが、銀行連携やレポート、専門家との共有などによって、時間を節約できることもあります。
ツール選びの際には、次のような点も考えてみましょう。
- 自分で入力する時間
- ミスを直す手間
- タックスシーズン前に整理する時間
- 将来ツールを移行する手間
会計ツールは、単なる「ソフト」ではなく、ビジネスのお金を見える化するための仕組みです。
料金だけではなく、続けやすさと将来の使いやすさも大切にしましょう。
途中でツールを変えても大丈夫?
「最初に選んだツールを、ずっと使い続けないといけないの?」そう不安に感じる方もいるかもしれません。
結論から言うと、途中でツールを変えることはできます。
ビジネスを始めたばかりの頃はGoogle Sheetsで管理し、取引が増えてきたらQuickBooks Onlineに移行する。
最初はWaveで始めて、専門家に依頼するタイミングでQuickBooks Onlineに切り替える。
このような流れもあります。
ただし、ツール移行には手間がかかります。
過去の取引データを移したり、カテゴリーを整理し直したり、銀行口座を連携し直したりする必要が出てくることがあります。
そのため、最初から将来のことを少し考えておくと安心です。
今は小さく始めても、将来的に、
- 取引数が増えそう
- CPAやBookkeeperに依頼したい
- PayrollやSales Taxが関係しそう
- 複数人で管理する可能性がある
という場合は、少し早めに会計ソフトを検討してもよいでしょう。
会計ツール選びに、絶対の正解はありません。
まずは、売上・入金・経費・手数料などを1か所で確認できる状態を作ること。そして、毎月無理なく続けられる仕組みにすること。
そこから始めましょう。
次の記事では、売上をどう記録するか、Invoiceの入金管理について詳しく説明していきます。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
少しでもあなたのビジネスのお役に立てれば嬉しいです。
Anshin Bookkeepingより
会計ツールは、選ぶところよりも、使い始めの設定と続け方がとても大切です。
「QuickBooks Onlineを使ってみたいけれど、設定がわからない」
「今のスプレッドシート管理で足りているのか不安」
「WaveからQuickBooksに移行したほうがいいか迷っている」
「タックスシーズン前に帳簿を整えておきたい」
そんな方は、Anshin Bookkeepingの記帳サポートもご覧ください。
日本語で、在米日本人ビジネスの数字の整理と見える化をサポートしています。
参考にした公式ページ
この記事では、以下の公式ページを参考にしています。
- QuickBooks Online公式サイト
- QuickBooks Online Pricing
- QuickBooks Online Plan Comparison
- Wave公式サイト
- Wave Pricing
- Xero公式サイト
- Xero Pricing Plans
- FreshBooks公式サイト
※この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、税務・法律・会計アドバイスではありません。各会計ツールの料金・機能・対応範囲は変更される場合があります。導入前に必ず各公式サイトで最新情報を確認し、必要に応じて会計士(CPA・Tax Preparer)やBookkeeperなどの専門家にご相談ください。


