【アメリカ個人事業主】売上・経費を1か所にまとめる|初心者経理の仕組みづくり

アメリカで個人事業やスモールビジネスを始めたら、まず大切なのは、ビジネス用と個人用のお金を分けることです。
この点については、「ビジネス口座は必要?ビジネスと個人の銀行口座を分ける理由」の記事でお伝えしました。
口座やカードを分けたら、次に必要なのは、ビジネスの収入と支出を「1か所で確認できる仕組み」を作ることです。
- 「銀行明細を見れば売上はわかるから、大丈夫かな」
- 「レシートは一応とってあるから、後でなんとかなる」
- 「PayPalの管理画面を確認すれば、売上は把握できているはず」
そう思っていても、確定申告の時期が近づくにつれて、売上・経費・手数料・返金・現金収入・クレジットカード払いなどが各所に散らばっていては、何から確認すればよいのかわからなくなってしまいます。
もちろん、今すでに使っている売上一覧、入金メモ、銀行明細、レシート、決済サービスのレポートなどは、どれも大切な記録です。
ですが、
いろいろな記録がバラバラの場所にあるままだと、ビジネス全体のお金の流れが見えにくくなります。
この記事では、アメリカで個人事業や小さなビジネスをしている方向けに、
- なぜ収入と支出を1か所にまとめる必要があるの?
- 今ある記録をどう整理すればよいの?
- 何を記録すればいいの?
- 続けやすい記帳ルールの作り方とは
などを経理初心者の方にもわかりやすく説明していきます。
最初から完璧な会計システムを作る必要はありません。まずは、今ある記録を活かしながら、ビジネスのお金の流れを「見える形」にしていきましょう。
収入と支出を1か所にまとめるとは?
「収入と支出を1か所にまとめる」とは、ビジネスのお金の流れを、ひとつの場所でまとめて確認できる状態にすることです。
個人事業やスモールビジネスでは、例えばこんな取引が発生します。
- 銀行口座への売上入金
- クレジットカードで払った経費
- PayPalやStripeからの入金
- VenmoやZelleで受け取った支払い
- チェックや現金で受け取った売上
- 返金やキャンセル
- AmazonやCostcoで買ったビジネス用品
- Zoom、Google Workspaceなどのサブスク費用
これらの記録自体は、すでにどこかに残っているかもしれません。
ですが、これらが銀行明細、決済サービス、レシート、手書きメモなど、それぞれバラバラの場所に分かれて管理されていたとしたら?
- 「今月いくら売上があったのか」
- 「経費はどのくらい使ったのか」
- 「どの入金がどの請求書に対応しているのか」
- 「利益は出ているのか」
こういった全体像が見えにくくなってしまいます。
そこで、スプレッドシートや会計ソフトなどを使って、ビジネスの収入・支出・手数料・返金などを、いつでもまとめて確認できる状態にしておくことが大切です。
バラバラに存在している記録を、経理の視点でひとつの場所に集め直すというイメージです。
IRSがすすめる「ビジネス取引の記録」とは?
「収入と支出を1か所にまとめましょう」というのは、単なる経理上の工夫ではありません。
IRSも、ビジネスの記録管理について、収入や経費がわかる記録を残すことを求めています。
IRS(Internal Revenue Service)
アメリカの課税と徴収を管轄している連邦政府機関で、確定申告など税金に関する書類はIRSに提出します。
IRSのガイドラインでは、記録方法はビジネスに合った方法を選んでよい一方で、その記録は収入・経費・控除などを明確に示せる必要があるとされています。
つまり、スプレッドシートでも、会計ソフトでも、紙の帳簿でも構いません。
大切なのは、あとから見返したときに、
- いつ
- 誰から、または誰に
- 何のために
- いくら入金・支払いがあったのか
- どのカテゴリーに入る取引なのか
- その取引を確認できる書類があるか
がわかる状態にしておくことです。
IRSは、” 良い記録管理システムにはビジネス取引の要約が含まれ、通常それらは journals や ledgers と呼ばれる帳簿にまとめられる” と説明しています。
“A good recordkeeping system includes a summary of your business transactions. Business transactions are ordinarily summarized in books called journals and ledgers.”
出典:IRS “How should I record my business transactions?”
また、日々の取引はできるだけその都度記録し、収入の出どころがわかるようにすることもすすめています。
簡単に言うと、日々の取引を記録する場所( journals)と、それらの記録を整理・集計したもの( ledgers)がある状態が良いという事です。
日々の取引を記録する場所( journals)とは次のような記録です。
・お客様からの入金一覧
・銀行口座やクレジットカードから支払った経費の一覧
・現金で払った経費のメモ
・Invoiceを発行した記録
・オンライン決済サービスから入金された売上の記録
一方で、それらの集計( ledgers)とは、売上、広告費、消耗品費、手数料など、カテゴリーごとに整理・集計したものと考えるとわかりやすいです。
つまり、別々に管理している売上・入金リスト、支払い一覧、現金払いのメモだけでは、全体像が見えにくいので、それらの記録を1つにまとめて、「今月の売上はいくらか」「経費はいくらか」「どのカテゴリにいくら使ったか」がわかる状態にしましょうということです。
Excelなどのスプレッドシートであれば、売上一覧、支払い一覧、現金支払いリストなどをシートごとに分けても構いません。ただし、最終的に月ごと・カテゴリごとに集計できるようにしておくことが大切です。
売上の全体像は意外と見えにくい
経費の記録ももちろん大切ですが、初めてビジネスをスタートした方が意外と見落としやすいのが「売上の全体像」です。
売上は、銀行口座に入金された金額だけを見ればよいとは限りません。
たとえば、Squareや Stripeなどの決済サービスでは、お客様が支払った金額から手数料が引かれた後の金額だけが銀行に入金されることがあります。
お客様が $100 支払ったとしても、決済手数料が引かれると銀行に入るのは $97 かもしれません。
この場合、記録としては次のように分けて考えると整理しやすくなります。
- 売上:$100
- 決済手数料:$3
- 銀行への入金額:$97
決済サービス利用の場合、売上と決済手数料は分けて記録することが大切です。
銀行に入金された $97 だけを売上として記録していると、次のような問題が起きやすくなります。
- Invoice や請求額との照合が難しくなる 請求書は $100 なのに、記録上の売上が $97 になっていると、「どの請求分が入金されたのか」「入金額は合っているのか」の確認がしにくくなります。
- 決済手数料を確認しにくくなる決済手数料はビジネス経費として控除対象となることがあります。売上と手数料を分けずに入金額だけを記録していると、この経費が帳簿に反映されず確定申告時の確認が難しくなります。
さらに、入金方法が複数ある場合も注意が必要です。
現金・チェック・Zelle・Venmo・PayPal・Stripe・Square・銀行振込・クレジットカード決済・マーケットプレイス経由の入金など、入金ルートが増えるほど「実際の売上」の数字がわかりにくくなります。
売上は、ビジネスの一番大事な数字です。
どの方法で受け取ったとしても最終的に1か所で確認でき、手数料と売上が正しく分けて記録されている状態にしておきましょう。
収入と支出がバラバラのままだと何が困るのか
売上は売上管理表で、現金の出し入れは現金リスト、支払いは銀行明細をチェック、など収入と支出を複数の場所で管理している方も多いと思います。
日々のビジネス管理として、それぞれの記録を残しておくことはとても大切です。
ですが、定期的にそれらを1箇所にまとめ集計することも必要です。
収入と支出の記録がバラバラのままだと、次のような問題が起きやすくなります。
売上の記録漏れ
まず収入と支出がバラバラのままだと、売上の記録漏れが起きやすくなります。
現金での売上、Venmoで受け取った支払い、チェックでの入金、決済サービス経由の売上などが別々の場所で管理されていると、あとからまとめるときに抜けが生じやすくなります。
特に少額の売上や、いつもと違う方法で受け取った入金は、時間がたつほど思い出しにくくなります。
経費の記録漏れ
ビジネス専用カードを使っていても、個人カードで払った経費や、現金で購入したビジネス用品などは、記録しないまま忘れてしまいがちです。
特に少額の支出の場合、レシートやメモを残して「あとで記録しよう」と思っていても、数週間たつと思い出すのが難しくなります。
確定申告の準備が大変になる
会計士さん(CPA)に資料を渡すとき、複数のリストや集計表を見ないと合計がわからない状態だと、確認や整理に余分な時間がかかります。
IRSも、整理された記録は税務申告書の作成に役立ち、必要な場合に内容を確認する助けになると説明しています。
ビジネスの利益がわかりにくくなる
売上はあるのに、なぜかお金が残らない。
このように感じる場合、収入と支出の全体像が見えていないことが原因かもしれません。
売上と経費が1か所にまとまっていれば、
- 今月の売上はいくらか
- 経費はいくら使ったか
- 利益は出ているか
- どのカテゴリーにお金を使っているか
- 未入金の売上があるか
などを確認しやすくなります。
経理は、確定申告のためだけではありません。
自分のビジネスの状態を知るための大切な土台でもあります。
最低限、記録すべき項目
初めて経理にとりくむ方は、最初から難しい会計用語を覚える必要はありません。
まずは、次の項目を記録できるようにしましょう。
- 日付
- 取引先
- 内容
- 収入または支出の金額
- 支払い方法・入金方法
- カテゴリー(広告費、外注費、売上など)
- レシートや請求書の有無
- メモ
たとえば、スプレッドシートで記録するとしたら、このようなイメージです。

基本、1行1取引で記録します。
収入と支出を同じシートに並べると、月ごとのお金の流れが確認しやすくなります。
このくらいの情報が残っていれば、数か月後に見返したときにも、
「これは何の売上だったのか」
「この支払いは何のためだったのか」
「レシートや明細はどこにあるのか」
がわかりやすくなります。
まずは、ビジネスのお金の流れを見える形で残すところから始めましょう。
レシートや明細も一緒に残しておく
収入と支出を記録するだけでなく、その内容を確認できる書類も一緒に保存しておくことが大切です。
たとえば、
- レシート
- Invoice
- 決済サービスの明細
- 銀行明細
- クレジットカード明細
- 契約書
- メールでの請求・支払い確認
- 返金やキャンセルの記録
などです。
日々の実務としては、記録した取引について、あとから内容を確認できる書類を残しておくことが大切です。
レシートや明細は、写真やPDFで保存し、年ごと・月ごとに分けておくと、あとから探しやすくなります。
大切なのは、「あとで探せる状態」にしておくことです。
会計ソフトは必要?
収入と支出をまとめる方法は、ひとつではありません。
取引数が少なく、シンプルなビジネスであれば、最初はGoogle SheetsやExcelでも管理できますが、ビジネスの規模や複雑さによっては、会計ソフトを使うほうが管理しやすいこともあります。
- Invoiceを発行している
- クレジットカード決済が多い
- 銀行口座やカードを自動連携したい
- 会計士(CPA)経理代行者(Bookkeeper)とデータを共有したい
- 月ごとのレポートを確認したい
という場合は、会計ソフトを使うほうが管理しやすいかもしれません。
アメリカのスモールビジネス向けの代表的な選択肢には、QuickBooks Online、Wave、Xeroなどがあります。
どのツールが合うかは、ビジネスの規模、取引数、パソコンスキル、今後の成長予定、専門家に依頼する予定があるかによって変わってきます。
最初から完璧なツールを選ぼうとしなくても大丈夫です。
まずは、今の自分が続けられる方法で、収入と支出を記録する習慣を作ることが大切です。
シンプルな記帳ルールを決めよう
収入と支出を記録する場所を決めたら、次はルールを決めましょう。
シンプルなルールほど続けやすくなります。
たとえば、次のようなルールです。
- ビジネスの収入は、ビジネス用口座に入れる
- ビジネス経費は、ビジネス用カードまたは口座から払う
- 現金や個人カードで払ったビジネス経費は、すぐにメモする
- レシートや請求書は、写真やPDFで保存する
- 週1回、または月1回、全ての収入と支出をまとめる時間を作る
- 月末に売上・経費・収益を確認する
特に大切なのは、ため込まないことです。
半年分をまとめて整理しようなどとすると、どうしても時間がかかります。
でも、週1回または月1回であれば、そこまで大きな負担になりにくいです。
たとえば、毎週金曜日の午前中や、月末の30分を「経理チェックの日」と決めておくのもおすすめです。
まずは、バラバラに残っている記録を定期的に集めて、ビジネス全体のお金の流れが見える状態を作っていきましょう。
まとめ|収入と支出を1か所にまとめるところから始めよう
収入と支出を1か所にまとめることは、確定申告の準備だけでなく、自分のビジネスの今の状況を把握するためにも大切です。
売上はいくらあるのか。
経費はいくら使っているのか。
利益は出ているのか。
何にお金を使っているのか。
未入金の売上はあるのか。
申告準備に必要な情報はそろっているのか。
これらをいつでも確認できる状態にしていきましょう。
今すでに持っている売上一覧、入金メモ、銀行明細、レシート、決済サービスのレポートなどは、どれも大切な記録です。
この記事では、それらをバラバラのままにせず、経理の視点で1か所にまとめていくの大切さをお伝えしました。
最初から完璧な会計システムを作る必要はありません。
まずは、
- 収入を記録する
- 支出を記録する
- レシートや明細を保存する
- 月に一度、集計し数字を見直す
これらを習慣にしていくとよいですね。
次の記事では、収入と支出を記録するための会計ツールの違いを説明します。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
少しでもあなたのビジネスのお役に立てれば嬉しいです。
Anshin Bookkeepingより
経理は、最初の仕組みづくりがとても大切です。
「収入と支出をどうまとめればいいかわからない」
「QuickBooks Onlineを使ってみたいけれど、設定が不安」
「タックスシーズン前に帳簿を整えておきたい」
そんな方は、Anshin Bookkeepingの記帳サポートもご覧ください。
日本語で、在米日本人ビジネスの数字の整理と見える化をサポートしています。
この記事では、以下のIRS公式ページを参考にしています。
- IRS: What kind of records should I keep?
- IRS: Recordkeeping
- IRS: How should I record my business transactions?
- IRS: Why should I keep records?
- IRS: How long should I keep records?
※この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、税務・法律・会計アドバイスではありません。事業形態、お住まいの州や郡のルール、個別の税務判断については、会計士(CPA・Tax Preparer)、弁護士、または各公式機関にご確認ください。


